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看護のエキスパートをめざす

認定看護師をめざしたのはなぜですか?

WOC,M
私はストーマをもつ患者さんからいろんなことを教えられて成長したと思ったのがきっかけです。もっと勉強して患者さんに還元したいと思いました。
 
CA,Y
私はがんの患者さんの中には、医師には痛くないというけれど看護師には痛いという人もいることを知りました。だから、ここを埋められるのは看護師かなと 思ったんですね。がん性疼痛に興味を持つようになって、その領域の認定看護師があるのを知って、勉強してみたいと思いました。
 
ICN,S
私はICT(感染制御チーム)のメンバーになって、外部の研修会やセミナーに行くようになりました。だけど、そこで学んだ知識をどうやって病院の中で活か していったらいいかとか、組織全体を動かすにはどうしたらいいのかわからなかった。特に感染対策では病院全体を動かすためのスキルを身につけておかなけれ ばならないと思ったのがきっかけです。それで一度系統的にきちんと勉強したいと思いました。
 
WOC,H
私には2つ理由があります。ひとつはストーマをもつ患者さんが、再入院してきたときに、ストーマ周囲がかぶれていたとか、家で生活していてとても困ってい たとか、そういう声を聞いて退院後も患者さんのストーマケアを継続しなくちゃと思ったことです。もうひとつは、当院に以前いたETの指導力に感銘を受けた ことです。自分もそうやって同僚や後輩に教えられる看護師になりたいと思って認定看護師を目指しました。
 
ICN,S
認定看護師取得後3年間は活動時間がほとんどなかったので、すごいジレンマがありました。問題は山積していて何をすべきかは分かっているんだけれど、それ に対処することができなかったので。大学院に行こうと決めたのにはいくつか理由があります。そこに、タイミングなどの条件がそろったんですね。感染管理に 関するエビデンスはそれほど豊富なわけではないんです。特に、当時副看護師長をしていたNICUには数も少なくて、ガイドラインや論文のエビデンス、経験 的知見を寄せ集めて最善策を決めるという日々が続いていました。だから、自分でも研究をしてエビデンスとなる成果を発信できるようになりたいと思ったんで すね。それに、退職をして非常勤でもいいから、週に2日でもいいから専任で活動したいという強い思いがありました。大学院に在籍している数年の間にICN としての存在価値をみとめていただけるような結果が出せれば専従になれるかなと思ったわけです。結局、修士課程終了後にCNSを取得して、さらに今年は加 算の追い風もあって念願の専従になりました。時間があるだけやることは増えましたが、毎日充実して仕事をさせていただいています。
 
会談のようす
みなさん、それぞれ資格を取るために学校に行ったわけですが、病院の支援はどういったものがありましたか?身分や給与の保証、学費はどうでしたか?

WOC,M
研修中もお給料は出ました。それに学校は国立看護大学校だったので学費の負担はありませんでした。
 
WOC,H
休みや試験前の勤務はどうでした?
 
WOC,M
認定試験の受験勉強のために職場のみんなが業務を配慮してくれたり、年休をつけてくれたりしました。
 
CA,Y
私も国立看護大学校のコースでしたから保障の面は同じでした。試験の前日はお休みをもらえたけど、あとは普通に夜勤しながら試験勉強をしていました。
 
WOC,H
坂木さんは大学院にも進学されているけど、立場や処遇はどうだったんですか?
 
ICN,S
私の場合、認定看護師のコースは国立看護大学校だったので、身分保証も給与保証もありました。ただ、大学院に関しては、今は休職制度を利用することもできますが、当時はいったん退職という形をとりました。
大学院で研究をしたかったことは、当院で行っていた感染対策に関することだったんですね。だから、研究フィールドとして確保したかったということと、認定 看護師としての活動をもっときちんと継続していきたいという理由で当時の看護部長と相談したんです。そこで、非常勤で週2日の感染管理専従看護師として就 業することが可能になったわけです。看護部長は大学院の勉強や研究を優先することには理解があって、出勤日や休日の変更はいつも応じてくださっていたので 恵まれていたと思います。
 
WOC,H
仕事を1回辞めて学校に入ったのはいいけれど、空いている時間は働いていた方がいいし、ゼロから勤務先を探すのも大変ですよね。
 
ICN,S
大学院を修了したら戻ってくるつもりでいたし、まるっきり辞めてしまうと認定看護師としての活動もできなくなってしまう。新しい病院で認定看護師として活 動できるかというと難しい。病院自体から離れてしまうのは自分にとってマイナスだと思いました。また、病院にとってもICNがいなくなるのはマイナスと 思っていただけたので、病院と自分の双方にとって都合のいいポジションを確保していただけたと思います。結局、博士後期課程修了までの5年間をその勤務形 態で過ごしました。その間には新型インフルエンザなどの大きな問題も発生して、いつも病院にいられたわけではないけれど、外からも電話やメールで絶えず関 わってこられたことはICNの経験としても大変貴重で良かったと思います。その一方で研究フィールドとしても十分なくらい支援をしてもらっていました。
 
会談のようす
WOC,H
私は県立大学の認定コースだったので、給与と身分はみなさんと同じように保障されていましたが、学費は自己負担でした。でも、金銭的に負担が大きいとは感 じませんでしたね。試験前のお休みがそんなにあったとは思わないですが(笑)、試験前日は休みでした。当時は皮膚排泄ケア認定看護師の先輩が勤務されてい たので、試験前に論文をみてもらったり、試験問題の予想や傾向などを教えてもらったりして勉強しやすかったです。
 
WOC,M
私も、小論文対策や面接対策をしてもらいました。
 
WOC,H
領域が違っていても経験者からの指導があるのは強いよね。
 

エキスパートだから得られる喜びと苦労・・・成果は地道な努力から

現在の活動について教えてください。

WOC,M
褥瘡回診の中ではチームの調整などを務めています。あとは、週1回ストーマ外来が運営されているので、今後はそちらにも参加していく予定です。また、病棟の看護師さんが臨床ケアの中で困っているところに助言ができればと思っています。
 
CA,Y
私は、週1回活動日として木曜日の午後に薬剤師と病棟ラウンドをしています。がん患者さんの薬の使い方はどうかとか、副作用対策はどうかをチェックしなが ら、スタッフから依頼があれば患者さんと話をして薬剤の調整について助言をしています。また、痛みのない体の動かし方なども看護師へ指導したりします。
 
ICN,S
私はフルタイムの専従で活動しています。主な活動はサーベイランスと病棟ラウンドです。コンサルテーション対応や直接ケアの指導をすることもあります。また、感染症に関する問題を抱えた患者さんの相談対応や面談をすることもあります。
 
WOC,H
私の活動日は週1日で、ストーマ外来と褥瘡回診、コンサルテーション対応が主な活動です。

 
会談のようす
認定看護師やCNSになってよかったと思うことはどんなことですか?

WOC,M
私は資格を取得したばかりですが、ストーマ外来で患者さんの退院後の生活が聞けるのは、力になれているなと実感できるので楽しいです。まだ、うまくいかないことも多いので、楽しいと思えるのはそれくらいかな?
 
CA,Y
患者さんに痛みが取れたといわれた時ですね。「ずっと痛くて痛くて仕方がなかったのに、この病院に来たら痛みが取れました」と言われたことが何回もあって、そういう言葉を聞いた時が一番やってて良かったと思う時です。
 
ICN,S
感染管理では、やはり感染率が下がった時でしょうか。
 
WOC,H
感染管理はデータとして示せるから一番分かりやすいですよね。
 
ICN,S
感染率が下がるというのはひとつの明確な目標です。ただ個人的には、感染対策のための物品を含めた環境が整ってくると嬉しいです。感染対策のためにはどう してもやらなきゃいけないことが増えて、ひと手間もふた手間もかかるようになることが多い。それが物品や環境を整えることによって、やりやすくて、無駄が なくて、効果が高い状況に変わっていった時に良かったと思います。
 
WOC,H
ICNの場合は本人が思っているも、周囲が“いてくれていい”と思っていると思います。私も山田さんと同じように直接ケアに関われるので患者さんからの反 応が一番。ここに来てよかったとか、出会えてよかったという言葉をもらうのが一番励みになります。もちろん、私たちは医師ではないから治療はできない。だ けど、褥瘡などの創がどんどん治っていくのを見るのは嬉しい。あとは、皮膚排泄ケア認定看護師の領域での人脈が広がって、他の病院の認定看護師と仲良くな れたり情報交換ができたりすることが、すごい財産だと思います。

 
会談のようす
逆に今大変なことってなんですか?

WOC,M
その場で判断して答えを出さないといけないことも多いし、結果の責任が自分にあるというところはやりがいがあるとも言えるけれど、大変だなって思います。
 
CA,Y
すべての責任を負う必要はないと思うし、そこまで悩む必要はないと助言されますよ。がん性疼痛認定看護師の場合は、処方権や選択権はない。つまり提案しか できないわけです。提案を採択するかどうかは主治医の判断ですから調整が大変な時があるのは事実です。それに医師は毎年変わるので、1から医師との関係を 構築しなければなりません。まず自分の存在、何ができるのかを理解してもらって、意見も繰り返し言わないといけないです。
 
ICN,S
PHSが鳴りまくる時に大変と思う時はあります(笑)。コンサルテーションが多いのはいいことだと思うし、それだけ対応が複雑化しているんだと思います。 感染制御医はいるけれど、感染症治療の専門医がいるわけではないのが課題のひとつです。感染症に関する問題は全科に渡っていて、たとえば抗菌薬の選択と か、稀な感染症の患者が来たときの対応について医師から相談を受けたこともあります。医師の裁量権に踏み込んではいないかと常に自問自答しています。
 
WOC,H
皮膚排泄ケア認定看護師はカバーする範囲が広いのでちょっと大変です。自分はストーマケアから入ったのですが、褥瘡や足病変、失禁などたくさん勉強していかないといけない。講義の依頼もいただくけど、常に新しい知識を盛り込まないといけないから大変です。


 
認定看護師・専門看護師連絡会のようす
西埼玉中央病院には認定看護師・専門看護師連絡会がありますね。その活動について教えてください。

WOC,H
会議は3か月に1回の開催です。メンバーは看護師4人と看護部長、副看護部長です。
 
WOC,M
会議ではそれぞれ3か月間の活動を報告しあいます。問題があれば意見をもらって解決策をみんなで考えます。あとは運営している公開セミナーがあるんです。
 
ICN,S
会があることでいいなと思ったことはありますか?
 
WOC,M
この会があると看護部長さんと直接話すことができるわけで、管理者の考えていることを直接聞ける貴重な機会です。また、それぞれの分野の認定の人から意見をもらうこともできます。自分では思いつかなかった解決策が得られると思います。
 
CA,Y
この会は心の支えでした。活動時間が確保できていなかった頃は、他の認定の人たちがどういう活動をしているのかも分からなかったし、どういうことからしていけばいいのかわからなかった。だから、情報交換できるのが嬉しかったですね。
 
WOC,H
私もそれぞれの活動を聞いて、がんばっているな、自分もがんばらないとなっていう励みになっていたと思います。
 
ICN,S
会で行っている公開セミナーは、自分の知識や技術を少ししでも還元していった方がいいという思いで、地域活動、社会活動として行っています。近隣病院やクリニックなど、地域で相互に相談ができるような関係性を作っていける場をこの会でもてるように努めています。
 
WOC,H
私たちの机が1つの部屋にあるので、活動日には話し合いができます。公開セミナーの計画や評価、次回はどうしていこうかとかそういった話がすぐにできるんですね。しっかりと話し合えるのはいいことだと思います。

 

これから認定看護師や専門看護師をめざすひとたちへ

ICN,S
私も認定看護師になりたいって相談されることはありますか?
 
WOC,M
大変そうですねと言われることはあります(笑)。
 
CA,Y
同じ。
 
WOC,M
楽しいことばかりではないから覚悟が必要だよと言っちゃうかもしれない。それが一番です。
 
WOC,H
応援はいっぱいしますけどね。本当にやり続けられるかということは本人のそれなりの覚悟が必要だと思います。
 
WOC,M
その人のその後の看護師人生にかかわることだから、ちゃんと考えてからの方がいいと思います。だから、気軽にいいんじゃないとか言えないですよね。
 
ICN,S
精神的にも身体的にもタフであることは必要かと思います。
 
WOC,M
あと精神的に安定していること。そうでないとたぶん辛いと思います。
 
WOC,H
辛くてきついこともある。認定のことだけやっていればいいというわけではないから、本気で辞めたいと思ったこともあるけど、外来にくる患者さんが辞めないでねと言ってくれるのが支えですね。この人のためにも辞めないぞって思います。
 
WOC,M
専従になって時間があれば、あるだけやらないといけないことも増える一方ですよね。
 
ICN,S
今は手を広げすぎて目が行き届いていない部分もあるなと反省しています。
 
WOC,H
難しいよね。結婚して家庭もあって仕事をしているわけだから、その中でどう自分の時間を作るか、仕事をどうしていくか、バランスは難しいと思います。
 
ICN,S
ワークライフバランスの青写真を描いて、がんばりすぎない、自分で抱え込みすぎない、自分の仕事のマネジメント、メンタルマネジメントがきちんとできることが大切だと思います。がんばるだけではバーンアウトしちゃうと思います。
 
WOC,M
山田さんは昨年更新審査を受けたんですよね。書類の準備など大変でしたか。
 
CA,Y
更新審査も、もちろん大変でしたよ。
 
ICN,S
領域が違っていても書類の書き方のポイントとか聞くことができて助け合いができていると思います。別の領域でも認定を取得したいという人がいれば、どうい う勉強をしたらいいとか、どういう研修に行ったらいいとか、共通の部分での助言というか支援はできるし、そういう輪を作っているのはとてもいいことだと思 います。
 
WOC,H
そういう意味で西埼玉中央病院の認定看護師・専門看護師会はいいよね。お互いに聞きやすいし、何を聞いても“え…”って言われない。そういう点でも将来資格取得を目指す人が入職するにはいい病院だと思います。
 
WOC,M
そうですね、フォローアップはすごくしてもらえますからね。
 
WOC,H
支援を惜しむことはないですしね。
 
これから認定看護師や専門看護師をめざすひとたちへ
WOC,M
私は認定看護師になってからも支援してもらっています。今、認定の研修に行っている人が2名いるのですが、その方も来年には帰ってきます。これからも認定看護師や専門看護師が増えてくるといいですね。


 
2010年9月