骨の話
骨の話 |
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生きている骨 | 人体には200個あまりの骨がありますが、それらは成長が完了した成人でも、生きた組織として新しく生まれ変わり続けています。 骨は骨芽(こつが)細胞によって作られます。骨芽細胞は血液中のカルシウムを取り込んで骨を作っていきます。 その一方で、できた骨は破骨(はこつ)細胞が溶かしていきます。骨の中にあったカルシウムは血液中に放出されます。 このようにして骨はたえず補修され、作り変えられているのです。 骨の主成分は、リン酸カルシウムとタンパク質です。骨の中の無機質(主にカルシウムとリン)の量を「骨量(骨塩量)」といい、単位体積内の骨量を「骨密度」といいます。 骨芽細胞と破骨細胞の活動性のバランスがくずれ、骨を溶かす働きの方が強くなると、骨密度が減少して骨粗鬆症になります。 |
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骨とカルシウム | 骨は、体を支え運動の軸となるだけでなく、体内のカルシウムの99%を蓄えていて、カルシウムの貯蔵庫の役割もはたしています。 カルシウムは細胞の活動を正常に保つために欠かせない物質で、血液中の濃度はカルシウムを調節するホルモンの働きによって、常に一定に保たれています。 カルシウムの摂取量が不足すると、血液中のカルシウム濃度を維持しようとして骨の中のカルシウムが溶け出し、結果的に骨密度が減少します。 逆にカルシウムをたくさん摂取すると、血液中の余分なカルシウムが骨に取り込まれて骨密度が増加します。 |
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骨粗鬆症という病気 | 人間の骨の密度は、成長するにつれて次第に高くなり、20歳前後で最高値(最大骨量)に達します。その後20歳代・30歳代はほぼその状態が保たれていますが、40歳代後半ごろから次第に減少していきます。 骨密度の低下が限度を超えると、骨折を起こしやすくなります。この「全身の骨が薄く弱くなり、骨折を起こしやすくなった状態」が骨粗鬆症です。 かつては、人が年をとれば骨がもろくなり、背が曲がり、杖をついて歩くようになるのは自然なことだと思われていました。しかし現在、それが予防でき治療できる病気なのだということが、次第に認識されるようになってきました。 |
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女性と骨粗鬆症 | 50歳代後半の日本人女性の約18%が骨粗鬆症といわれます。60歳代後半では約34%、70歳代後半では約49%にもなります。(*) 女性ホルモンは骨密度を維持する働きがあるため、卵巣の機能が衰え女性ホルモンが低下する閉経期直後の8~10年間に、骨密度が急速に減少します(約20%減少)。 女性は男性に比べて若い時期の骨密度がもともと低い上に、この閉経期後の減少も加わって、中・高年期に骨粗鬆症になりやすく、背骨や大腿骨の骨折を起こす危険性が男性より数倍高いとされています。 さらに、妊娠・授乳期にカルシウムを大量に必要とすることも、女性に骨粗鬆症が多い一因です。 |
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骨粗鬆症の症状 | 骨粗鬆症の症状は、骨折を起こすことによって、痛みとなって現れます。 通常では大ケガをすることがない軽い衝撃でも、大腿骨や手首などの骨折が起こることがあります。 背骨では、ちょっと尻もちをついたとか、少し重いものを持ち上げようとしたとかで、骨が押しつぶされる圧迫骨折を起こします。 背骨の圧迫骨折は、はっきりした契機のないままわずかずつ進むこともあり、その場合は慢性の背部や腰部の痛みが最初の症状になります。痛みがなく、本人がまったく自覚のないうちに、いつの間にか背中が円くなり、背が縮んでいたということもあります。
骨が薄くなって骨粗鬆症の状態になっても、それだけでは症状はありません。そのために現在では、自治体などで骨粗鬆症の検診を行うことが広まってきています。 |
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骨粗鬆症の予防は骨折の予防 | 高齢者が骨折をすると、その後の生活にさまざまな困難が生じます。 大腿骨の骨折の場合、手術を行うなどしてできるだけ早く立ったり歩いたりできるよう治療に努めますが、それでも、骨折前と同じようには外出できなくなったり、家の中の生活にも不自由さが残ることがあります。以前から体力や平衡感覚が衰えていた人や、余病を持っている人では、骨折がきっかけで「寝たきり」の状態になってしまうこともあります。 背骨の圧迫骨折でも、背や腰の痛みや変形のため日常生活に大きな制約を受けます。 このようなことがないように、骨折しにくい骨を作ることが骨粗鬆症の予防・治療の目的です。 |
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骨折しない骨を作るために | 骨粗鬆症の予防は、まず若い時期に充分な骨密度を確保しておくこと。そして、閉経期以後の骨密度の減少速度を少しでも遅くすることです。それによって生涯、骨折を起こしにくい骨の強度を保たせるのです。 骨密度を増やし保つには、一日あたり800mgのカルシウムが必要です。 そのためには 穀物 + タンパク源 + 野菜 を組み合わせたバランスのとれた食事を過不足なくとることが基本です。それが、カルシウムと、カルシウムの腸からの吸収に必要なビタミンDや、骨の丈夫さと緊密な関係をもつビタミンKなどをしっかり摂取することにつながります。 ゆき過ぎたダイエットは禁物です。骨を作るために必要なカルシウムやタンパク質の摂取を妨げ、骨粗鬆症になる危険性を高めます。 |
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